勝手な読唇術

根拠なくあれこれと憶測し、ネガティブな結論を導いてしまう考え方

カテゴリ:推論の誤り

特徴

勝手な読唇術とは、『自分の思い込みで、証拠もなく、独断的に判断してしまう』ことや『自分の推論で、いろいろ感情をめぐらしてしまう』、『少ない情報からの思い込み』など、根拠もないのにあれこれと思考を巡らせて結論づけることです。

『あの人は私を嫌っている』『挨拶しても返さないのは私をバカにしているからだ』のように、相手の心の状態や考えを十分な証拠がない状態で読み取とったと思って、それを真実だと思い込んでしまう思考が勝手な読唇術の特徴です。

ある程度の強さであれば問題が起きることも少ないのですが、例えば自分に対する評価が低い(自己肯定感が低い)場合などは、全ての原因を「自分に価値がないから」「嫌われているから」などの低い自己肯定感と関連づけて読み取ってしまうようになるため、行動が制限されたり過度にストレスを抱え込んでしまうようになってしまいます。

独善的な推論という表現をすることもある勝手な読唇術とは、うつ病や不安障害の人の独特な思考でもあります。うつ病や不安障害になりやすい人は、客観的な根拠なしに自分独自の考え方で処理することがあります。

例えば、人から何かに関して批判されると、「この人は私を嫌っている」と判断します。ある人から何か気に入らないことを言われたとしても、その人が私を嫌っているとは限らないのに、うつ病や不安障害になりやすい人は、自分自身が判断した思考にこだわります。

その人から何度も叱られたとしても、その人が「私を嫌い」と言う判断が正しいかどうかはわかりません。おそらく、叱った内容は、その人を嫌っているからではなく、その人の仕事の内容を叱ったはずです。

このようにうつ病や不安障害になりやすい人は、一度でも叱られると、この人は私を嫌っていると判断するのです。そうすると、双方が異なった思いで対応することになり、人間関係が壊れたりその人自身が悩む状況に追い込まれたりします。この不都合な状況が、うつ病や不安障害になってしまう原因になります。

具体例

友達がバースディ・カードを贈ってこなかっただけで 「友達が私を嫌いになった」と感じる

「自分の言葉で相手は傷ついたんじゃないか、私のことが嫌いになったんじゃないか、他の友達に私のことが嫌いって言いふらすんじゃないか」と考える

「恋人の表情が暗い。この人は自分から去っていくにちがいない」と感じる

人の顔色を見てその人の気持ちを判断することが多い