拡大解釈と過小評価

〜出来事や事実を実際よりも過大評価したり,過小評価する思考〜

カテゴリ:認知の偏り

特徴

拡大解釈・過小評価とは、出来事や事実を実際よりも過大評価したり,過小評価する思考のことです。特に、自分の失敗や短所は実際よりも大きく考え、逆に成功や長所については過小評価をしてしまう傾向にあります。

また、他人に対しては逆の考え方で、他人の失敗は小さく評価して、他人の成功を大きく評価することもあります。

例えば、少し良くないことや失敗が起こると、連想できる最悪の事態まで拡大解釈して大げさに考えたり、逆に、うまくいったり、良かったことに関しては、別に大したことがない、誰にでもできると過小評価します。

他者についてはこの逆になる傾向があります。自分がちょっと仕事でミスをしたら、「自分はなんてダメなのだ」と必要以上に落ち込むのに、他人がミスをしても、「これくらいよくあることなのに」と小さく思ったり、自分がいい成績を残したときは、「これくらいのことなら全員ができる」と過小評価するのに、他人がいい結果を残したときは強く羨望します。

十分な根拠がないにも関わらず、他者のことは悪いところなど一切なく、うらやむほど素晴らしく思え、それに比べ自分は…と考え劣等感を抱いたり、自己嫌悪に陥ってしまうのです。

自分のマイナス面や短所は過大に評価し、プラス面や長所が過小評価される「拡大解釈と過小評価」は対になっていますので、どちらか一方の傾向がある人はもう一方の傾向も持ち合わせていると考えられます。

すると、その評価による両者の乖離はますます大きくなり、自分には取柄など無い、自分はダメな人間だという自己否定が強くなってしまいます。

また、拡大解釈・過小評価は、自信の無さが拡大された思考パターンです。または「自信を持ってはいけない」という強迫観念があることで、自分を小さく見せようとします。

ネガティブな結果のショックを最小限に抑えるためです。あるいは、日本人的な謙虚さが極端に現れた思い込みとも言えます。日本では「自分に厳しく、他人に寛容であることは素晴らしい」とされる価値観があるからです。

具体例

失敗すると「失敗ばかりだ、私は本当に仕事が できない」と拡大解釈し、成功したら「こんなことたいしたことない、偶然だ」と考える

「自分にはなにもない」「〇〇もできない」といった自己卑下的な口癖がある

たいしてよく知らない他人の子どもがとても優秀に見えるのに、自分の子どもがどんなに頑張ってもまだまだと感じてしまう

「最近結婚した友人がとても幸せそうで羨ましい。それに比べて私はなんて不幸なんだろう」と思う